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高森明勅
2019.2.23 08:00皇室

「天皇の元号」守られる?

新元号について次のようなニュース。
 
「政府関係者によると、政府は、全閣僚による協議終了後、
新元号の閣議決定が行われる前に、
宮内庁長官を通じて天皇陛下と皇太子さまに
新元号を伝えることを検討している」(NNN、2月22日)と。
 
元号法では、元号は政令で定める事を規定している。
 
だが、単に政令で決めるだけでは、
「天皇の元号」という伝統が失われ、
「内閣の元号」に変質してしまう。
 
そこで「昭和」から「平成」への改元の際には、
政令を正式に閣議決定する“前”に、今上陛下にご報告した。
 
事実上、陛下の“ご聴許”を得て
平成の元号が決まる―という手順が踏まれたのだ。
これによって、「天皇の元号」という伝統はギリギリ守られた。
 
今回も、その手順を厳格に踏襲しなければならないと、
私は様々な場面で繰り返し主張して来た。
 
これまでの報道は、
前回の手順を踏襲する、
という漠然とした報じ方で、
閣議“前”のご報告にまでは踏み込んでいなかった。
 
しかし、この度の報道によると、
まだ「検討している」という表現にとどまるが、
ご聴許を戴くという手順は何とか踏襲されそうだ。
 
そうでなければ、
情報をメディアに流さないだろう。
 
もし新元号を前倒しで公表するなら、
次代の天皇となられる皇太子殿下にも
併せてご報告するのは、当然の配慮だ。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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